緑内障
緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなる病気のことです。治療が遅れると失明に至ることもあります。
症状は、少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。しかし、その進行は非常にゆっくりで、両方の目の症状が同時に進行することは稀なので、病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。
緑内障は中高年の方に起こる代表的な病気のひとつです。症状がない場合でも、定期的に眼科検診を受けることをおすすめします。
原因
もともと視神経が弱い方(正常眼圧緑内障) もしくは 眼圧が異常に高くなることで視神経が傷つくことが主な原因と考えられています。視神経の傷みが悪化すると失明の危険もありますので、気になる症状の場合は、すぐに専門の眼科医に見てもらうことが必要です。
症状
- 視野の狭窄
- 暗点(みえない部分)が出現した
- 目が痛い
- 視力低下
- まぶしさやかすみ等
検査
眼圧測定 | 眼の表面に空気をあてて眼球の固さを測定します。 |
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視野検査 | 眼を動かさずに見える範囲を検査して、視野欠損の有無や視野の欠けている程度を調べることによって、緑内障の進行具合を判定します。 |
眼底検査 | 視神経の状態をみるために、視神経乳頭部を観察します。 視神経が障害されている場合、陥凹(へこみ)の形が正常に比べて変形し大きくなります。緑内障発見のための必須の検査です。 |
治療
一度障害された視神経が、元の状態に戻ることはありません。
薬物療法・レーザー治療・手術のいずれの治療も、緑内障の進行を抑制し、失明に至らないようにすることを目的としています。したがって出来るだけ早期に緑内障を発見し、治療を開始することが大切です。
薬物療法 | まずは点眼薬で眼圧を下げる治療が一般的です。患者さんの眼圧や視野異常の程度などから適した点眼薬を選んで処方します。現在多くの緑内障点眼薬が開発されており、病状にあわせて複数の点眼薬を組み合わせることもあります。 |
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レーザー治療 | 隅角にレーザーを照射することで、房水の出口の細胞を活性化させ、眼圧を下げることができます。治療は5~10分ほどで終了し、痛みも感じません。 |
緑内障手術
緑内障手術は、点眼薬やレーザー治療でも十分に眼圧を下げることが出来なかった場合に行います。
線維柱体切開術 | 房水の流れの悪い網目の部分(線維柱帯)を細い針状の器具で切開し、房水の流れを良くして眼圧を下げます。白目(強膜)は切開しないので、傷口は非常に小さくすみます。 |
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線維柱帯切除術 | 線維柱帯切除術は、房水(目の中の液体)の排出経路を新たに作ることで眼圧を下げる手術です。他の術式よりも眼圧下降効果が期待できる反面、頻繁な通院や追加処置、それから術後は乱視が増えるなどのデメリットもあります。 |
iStent | 眼内ドレーン(ステント)を眼の中の線維柱帯という組織の2ヶ所に留置して、房水の排出を促進し、眼圧を下降させることを目的とする治療です。
この手術は白内障手術と同時に行うため白内障の治療も同時にできることや手術時の眼の切り口が小さいので回復が早いこと、また眼圧を下げる効果が期待できます。 |